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パブリックデータがソーシャルになる

データははかりしれないほど貴重だ。データへのアクセスは争点に結果をもたらす方法で光を当てる、潜在的な力を持つ。しかしながらデータを下手に扱うと、何事も伝えない、曖昧な構造の中に事実を置いてしまう。もしデータが議論を促進したり文脈の理解を提供しないならば、データは公衆にとってわずかな価値しかないかもしれない。

ナイジェリアは長期にわたる軍政の後、1999年に民主政に復帰した。データの背後にある事実を調査することは権力者に侮辱と受け取られ、軍事政権の汚れた評判にさらに疑問を投げかけようとするものと見られた。公務員秘密保護法は公僕に政府情報を共有させないように強制した。民主化復帰から13年経った後でも、パブリック・データにアクセスすることは困難な任務でありえる。公共支出に関するデータは、会計と複雑な計算に精通していない大部分の公衆には、ほとんど何も伝えない。

モバイル端末の発達とナイジェリア人のインターネット利用人口の増加に伴い、我々はBudgITで、データ視覚化技術を用いて人々に公共支出について説明し関与させる大きな機会を見出した。このために、我々は全てのプラットフォームをまたがってユーザーと関わり、NGOを通じて人々と接触する必要があった。このプロジェクトはパブリックデータを公共物とし、変化を求める広範囲なネットワークを構築するものだ。

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Figure 27. 予算削減アプリ (BudgIT ナイジェリア)

うまくユーザーと関わるためには、我々は彼らが何を欲しているかを理解する必要がある。ナイジェリア市民は何を気にかけているのか?彼らはどこに情報ギャップを感じているのか?我々はどのようにしてデータを彼らの生活に関連づけることができるか?BudgITの当面のターゲットは、オンライン・フォーラムやソーシャル・メディアに接続した平均的な読み書き能力を持つナイジェリア人である。広範な興味(ゲーム、読むこと、友達づきあい)にひたっているユーザーの限られた注意力に対抗するため、我々はデータを手短に簡潔な方法で見せる必要がある。ツイートやインフォグラフィックでデータのスナップショットを拡散した後には、ユーザーにより大きな絵を見せるため、より双方向な経験によるより持続的な参加の機会がある。

データを視覚化する時は、我々のユーザーのデータ・リテラシーのレベルを理解することが重要だ。レベルと同じだけ美しく洗練されていてもよい。複雑なダイヤグラムや双方向アプリケーションは、以前のデータ理解経験にもとづく我々のユーザーに十分に伝えることができないかもしれない。よい視覚化はユーザーに対して、彼らが理解できる言語で語りかけ、彼らが簡単に関わりをもつことができるストーリーを生み出すものだ。

我々は予算について10,000人以上のナイジェリア人と関わってきた、そして最大の価値をもたらすことを確実にするために、我々は彼らを3つのカテゴリーにプロファイルした。カテゴリーは簡単に以下のとおり説明される。

偶発的ユーザー(Occasional users)

これらは情報を簡単かつ素早く欲するユーザーである。彼らはデータのイメージを得ることに関心があり、詳細な分析には関心がない。我々は彼らとツイートやインタラクティブ・グラフィックを通じてつながることができる。

活動的ユーザー(Active users)

議論に刺激を与え、取り上げられた地域に関する知識を増やすためにデータを使い、データの仮定に挑戦するユーザーである。こうしたユーザーには、我々はフィードバック・メカニズムと、ソーシャル・ネットワークを通じて彼らの仲間に洞察を共有する手段を提供したい。

データ食らい(Data hogs)

これらのユーザーは視覚化や分析のために生データを欲している。我々は単純に、彼らの目的のためにデータを渡す。

BudgITでの、我々のユーザーとの関係性は次のことに基礎をおいている。

最近のトレンドに関連した議論を刺激すること(Stimulating discussion around current trends)

BudgITはオンラインとオフラインの議論を追跡し続け、これらのトピックにデータを提供しようとしている。例えば、2012年1月の燃料ストライキでは、燃料補助金を元に戻し贅沢で不必要な公共支出を削減する必要性について、抗議者の間から絶えず扇動があった。BudgITはソーシャルメディア上の議論を追いかけ、36時間後には、市民がナイジェリアの予算を再編成することを可能にするアプリを構築した。

良好なフイードバック・メカニズム(Good feedback mechanisms)

我々は議論のチャンネルとソーシャル・メディアを通じてユーザーを関わっている。多くのユーザーはデータの背後にあるストーリーを知りたがっており、多くは我々の意見を求めている。我々は、我々の応答がデータの背後にある事実を説明しているだけであり、我々の個人的な見解や政治的な見解によって偏らされていないように注意した。我々は、データの周りに築かれたコミュニティが存続することを確かにするために、フィードバック・チャンネルをオープンにし、活発にコメントに応答しユーザーと創造的に関わる必要がある。

ローカル化せよ(Make it local)

特定の集団を対象にしたデータセットのため、BudgITはコンテンツをローカライズし、ユーザーの中の特定グループのニーズと興味につながる議論のチャンネルの発展を目指している。特に、SMSを通じて、ユーザーが気にかけている争点の周囲にいるユーザーと関わりを持つことに、我々は関心を抱いている。

支出データをyourbudgit.comで利用可能にした後、我々は様々なNGOを通じて市民に接触している。我々は、市民と政府機関がタウンホールで会合し、優先順位をつける必要がある予算のキー項目を定義することができる、参加的な枠組みを発展させようとも計画している。

このプロジェクトは、 CP-Africa から BBCまでの地域と外国メディアで報道された。我々はAP記者Yinka Ibukunのために、2002年から2011年までの防衛部門の予算の検査を請け負った。ほとんどのメディア組織は「データ食らい」であり、ルポルタージュに使うため我々にデータを求めてきた。我々は来月に、ジャーナリストやニュース組織とのさらなる協働を計画している。

Oluseun Onigbinde, BudgIT ナイジェリア(Nigeria)