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データに人を惹きつける

データを公開するというのは、読者から反応をもらうのと同じくらい重要なことである。あなたは人間なので、間違いもおかすし、何か見落としたりもする。時々は間違った考えをすることだってある。読者はあなたが手に入れた資産の中でも最も有用なものだ。あなたが気づかなかった事実確認や指摘をしてくれるのが彼らなのだ。

だが、読者を引きつけるというのはなかなかの難題だ。あなたが相手にしているのは、ウェブ・サイトからウェブ・サイトへと飛び回り、通った後には皮肉交じりのコメントしか残さない、そんなことを何年もやっているような連中だ。あなたとユーザの間に信頼を構築することはきわめて重要である。彼らは自分達が得られるものが何なのか知りたいと思っているし、その内容についてレスポンスする手段を知りたいと思っている。そして、レスポンスの中身をきちんと読んでもらいたいとも思っているのだ。

だが、あなたがまず考えなければいけないのは、既にいる読者や、これから読者になってくれる人達のことだ。彼らは、あなたが取り扱うようなデータの提供者になるかもしれないし、データの利用者になるかもしれない。もし、あなたの記事が特定の業種に関するものであれば、あなたは業界固有のコミュニケーション経路について知りたいと思うのではないだろうか。あなたはよりたくさんの読者に読んでもらうべく記事を作った。それを周知してくれるであろう業界団体と関係を深めているだろうか? 関係構築したいと思うコミュニティ・サイトやフォーラムはあるか? あなたがデータから導き出したストーリーを掲載してもらいたいと思う、業界紙があるだろうか?

ソーシャルメディアも重要なツールだが、これも、あなたが使っているデータ次第というところがある。例えばあなたが国際貿易の統計を調査していたとして、あなたのやっていることに関心を示すFacebookグループやTwitterユーザを見つけることは難しいだろう。一方、もしあなたが世界の経済指標や地元の犯罪統計から有益な情報だけ選り分けたのであれば、より多くの読者の興味を引くだろう。

Twitterで最適なアプローチとして、人目を引くようなプロフィール、あなたのやったことの重要さが分かる簡潔な説明、それからリンクを含める、というのがある。運が良ければ、Twitterユーザは彼らのフォロワーに対してリツイートを行ってくれる。それは、あなたの仕事が人目に触れる機会を、最小の労力で最大化する素晴らしい方法だ ――しかも人々を煩わせることがない!

いったん人々があなたのページを開いたのであれば、次に考えるのは読者はどうやってあなたの記事に興味を持つようになるのかだ。もちろん、彼らはあなたの書いた記事を読み、インフォグラフィックスや地図を見る。あなたに意見をよこす顧客は非常に貴重だ。何より、あなたが書いた記事の主題や今後の課題について、素晴らしい洞察を与えてくれるからだ。

まず、言うまでもないが、あなたは記事と合わせて、生のデータを公開する必要がある。方式はCSV形式でも、GoogleDocsのようなサードパーティのサービスを介してでも構わない。ただし、公開するデータのバージョンは1つだけにし、データに間違いがあり修正しなければいけない場合など、必要に応じてそれを更新するようにする。さらに良いのは、両方の形式で公開し、読者ができるだけ簡単にデータを手に入れられるようにすることだ。

読者が関心を持つ事柄が他にもないか考えてみよう。あなたが作ったデータセットのどこに関心が集まっているのかを知るため、アクセス情報には常に目を光らせよう。最もトラフィック量の多い場所には、あなたが見落としているが語るに値する、そんな何かがあるだろう。例えば、あなたはアイスランドの貧困に関する統計を見ようとは思っていないかもしれないが、それらのセルに注目が集まっているのであれば、そこには何か観察に値する何かがあるだろう、ということだ。

コメントボックスを超えて考えよう。あなたのスプレッドシートは、セルにコメントを付けることはできるだろうか?インフォグラフィックの任意の部分にコメントを付けることは?大半の拡張可能なパブリッシング・システムにおいて、そのような機能が最初から組み込まれていることはない。だが、あなたが作っているものに、何かしらオーダーメードできる部分が含まれているのであれば、考えてみる価値はある。それがあなたのデータにもたらす価値を過小評価してはいけない。

他のユーザもコメントが見られるようにしよう。大抵の場合、それらは元のデータと同じくらいの価値を持っているからだ。もしあなたしかコメントを見ることができないのであれば、それは読者からその分の価値を奪っているのと同じことだ。

最後に。あなたが使ったのと同じデータを元に、インフォグラフィックスや記事を作りたいと思う人が出てくるかもしれない。彼らがどのようなものを作るか、どうすれば上手く結び付けられることができるかを考えてみよう。例えば、データセットに関するハッシュタグを作ることができるかもしれないし、絵が入っているものならFlickrでシェアするのも良いかもしれない。

情報を秘密で共有する方法を知っていることが役に立つこともある ――そうした方が、データセットの作成に貢献した人達が安全な場合もあるからだ。あるいは、単純に、公開されることを心地よく感じない人もいる。そのような人達は、電子メールでのコメントや匿名のコメントボックスをより好むのだ。

データに関して一番重要なのは、できるだけ広くオープンに情報を共有することだ。読者があなたの仕事をチェックしたり、間違いを見つけたり、あなたが見落としていることを指摘できるようにするのだ。そうすることで、あなたのジャーナリズムと、読者のエクスペリエンスは際限なく良くなっていくだろう。

ダンカン・ジーレ, 英ワイアード