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ProPublicaのニュース・アプリ

ニュース・アプリケーションとは膨大でインタラクティブなデータ・ベースがニュースのストーリーを伝えるものだ。他のジャーナリズムの作品と同じようなものだと考えてみてほしい。違うのは、文字や写真ではなくてソフトウェアを使うところだけなのである。

それぞれの読者に個別のデータを見せることで、ニュース・アプリは読者一人一人にとって意義のある方法でストーリーを理解させることができる。国全体の現象について読者個人のつながりを見つけ、全体像を理解する手助けになることや、個人が知っていたこと、知らなかったことを添えて、抽象的な概念の理解を深めることができる。

データがある、またはデータを手にしたと思った時にニュース・アプリを作るわけだが、国レベルのものであっても、意味のある詳細を引き出すには荒っぽいデータであることが多い。

ニュース・アプリはストーリーを伝えなければならない。そしてほかの良いニュース・ストーリーと同じで、見出しや、小見出し、リード、グラフが必要だ。インタラクティブなソフトウェアを使った記事でこうした概念を見つけるのは難しいかもしれないが、注意深く見るとそこにあるのだ。

また、ニュース・アプリはジェネラティブである必要がある。ジェネラティブとは、さらなるストーリーやレポートを生むものであるべきであるという意味だ。ProPublicaの素晴らしい数々のアプリケーション達は、地域の報道のもととして使われています。

例えば、 Dolloar for Docsという私たちのニュース・アプリを見てみよう。製薬会社の数百ドルもの支払がどのように使われたかトラッキングしたものだ。(例、コンサルティング、講演会、など)このニュース・アプリは、読者が自分の医者がどのような支払いを受けているかを見つけるために作られた。他の組織にいる記者もこのデータを使っている。the Boston GlobeやChicago Tribune、そしてSt. Louis Post-Dispatchを含む125を超える地方の新聞社がDollar for Docsを使って独自の調査報道を行った。

正式なパートナーシップを組んでいるのはほんの一部で、私たちのアプリケーションを使ってニュース。ストーリーを作っているということは完成した記事が世に出るまで知らなかった、というケースもあった。ほとんどは自主的に行われた報道だった。小規模だが全国規模で活動している私たちのようなニュース組織にとってこうしたことは、非常に重要なことだ。125もの都市でどのようなことが起きているか私たちにはわからないが、私たちのデータが地域に精通しているローカルのレポーターに使われ、影響力のあるストーリーを伝えることができるのなら、それは私たちのミッションを達成しているということになる。

私のお気に入りのニュースアプリケーションはLos Angeles Timesの マッピングLA です。これは、ロサンゼルスの様々な地域をクラウドソーシングしてマッピングしようと始めたもので、それまでは、独立した、誰もが認める境界線というのがなかったのだ。最初のクラウドソーシング・プロジェクトを経て、the Timesは近隣地区のデータを使った報道をどんどん増やしていくことができた。地区ごとの犯罪率、学校の質などこれまでできなかったことがわかるようになった。マッピングLAは幅広いと同時に非常に限定されたジェネラティブなアプリケーションとなり、人々に自信の物語を伝える手段をつくったのだ。

ニュースアプリケーションを作るのに必要なリソースは広範囲にわたる。The New York Timesは12人以上のスタッフがインタラクティブなグラフやニュースアプリケーションに従事している。だが、 Talking Points Memo は、コンピューター・サイエンスの学位を持たないたった二人のスタッフによって新進気鋭の世論調査トラッカー・アプリをつくりあげた。

ニュース編集部にいるコーダーたちと同じように、私たちも少し手を加えたアジャイル・メソッドに従ってアプリを作っている。私たちは下書きを作っては編集室のほかの人たちに見せて、また修正するという繰り返しを行っている。最も重要なことはレポーターと綿密に企画案から話し合っていくことで、それは最も最初の下書きであっても、だ。私たちはこれまでのプログラマに比べたら圧倒的にレポーターのように行動している。コードを書くだけでなく、情報源に電話したり、情報収集をして専門性を高めていく。わからないことについていいニュース・アプリをつくるのは難しいからだ。

ニュース編集部はデータ・ドリブンのニュース・アプリを作ることにどうして興味を持たなければいけないか。そこには、3つの理由がある。まず素晴らしいジャーナリズムを生むということ。そして大変に好評であるということ(ProPublicaの最も人気の機能はニュース・アプリケーションである)、そして最後にもし作らなければ他の人がつくってしまうということ。つくらなかったら重大なスクープを見逃してしまうわけだ。一番大事なことは、どのニュース編集部もデータ・ドリブンのアプリケーションをつくることができると知ることだ。思っているよりずっと簡単なのだ。

Scott Klein, ProPublica