Loading

全てを語る電話

携帯電話の提供するデータで実際に何ができるかについてほとんどの人が持っている理解は理論的なものだ — 現実の例は少ししか存在しない。ドイツの緑の党のMalte Spitzが自分のデータを公開することに決めた理由はそこにある。情報にアクセスするために、彼は巨大な通信会社であるDeutsche Telekomを相手取って訴訟を起こさなければならなかった。巨大なエクセルのファイルに収納されたデータは、Zeit Onlineのインタラクティブなマップに付随するpassのベースになった。スプレッドシートの35,831行それぞれが、Spitzの携帯電話から半年の期間内に起こった情報の転送をあらわしている。

個別に見ると、これらの個々のデータはおおむね無害なものだ。だが、まとめて見ると、調査官がプロファイルと呼ぶものになる。個人の習慣や好み、それに彼の生活の、の鮮明な像を提供する。このプロファイルはSpitzがいつ通りを歩き、電車に乗り、飛行機に乗ったかを明らかにする。これはまた、彼が主にベルリンで勤務していることや、他にどの都市を訪問したかを明らかにする。彼がいつ目を覚ましていたか、いつ眠ったかも明らかにする。

03 BB
Figure 19. 全てを語る電話 (Zeit Online)

Deutsche TelekomのデータセットはSpitzのデータ記録の一部を既に非公開にしていた。彼が誰に電話をかけ、誰から電話をもらったかの情報だ。この種の情報は、たとえ電話番号が暗号化されていたとしても、彼の生活に関わる多くの人のプライバシーを侵害する可能性があるだけではなく、Spitzに関してあまりにも多くのことを明らかにしてしまうだろう(だが、現実の世界の政府機関はこの情報へのアクセスができるだろう。)

われわれはオープン・データ・シティのLorenz Matzat とMichael Kreilに、このデータを扱ってビジュアルな表現方法を見つけてくれるように依頼した。「私たちは最初にエクセルやフュージョン・テーブルを使って、データについて理解を深めました。それから、受け手がデータとノンリニアな形でインタラクションができるようにと、地図インターフェースの開発に入りました。」とMatzatは言った。この保存されていたデータから、どれだけつぶさに彼の生活がマイニングできるかを具体的に示すため、更にここに彼の居場所について公開されている情報(ツイッター、ブログの書き込み、彼のサイトに掲載されている公開活動予定など党の情報)が付け加えられた。これは優秀な調査官であれば観察対象にしている人のプロファイルを得るために用いるような手法だ。 Zeit OnlineのグラフィックスとR&Dチームと一緒になって、彼らはナビげーションのための素晴しいインターフェースを完成させた — 再生ボタンを押すことで、Malte Spitzの生活を通じた移動を体験することができるようになった。

ドイツで大きな成功を収めたプロジェクト・ローンチの後、私たちは非常に大きなトラフィックがドイツ国外から来ていることに気がつき、アプリの英語版を作成することに決めました。ドイツ・Grimme・オンライン賞を受賞してから、2011年9月にはこのプロジェクトはドイツのニュース・サイトでは初めてONA賞を受けるという栄誉に浴した。

全てのデータは、 Google Docsのスプレッドシートで閲覧可能である。 この記事を Zeit Onlineで読む。

Sascha Venohr, Zeit Online