ヴェルデンス・ガングではデータをどう使っているか
ニュース・ジャーナリズムとは、新しい情報をできるだけ迅速に読者に届けることである。最も早い手段として、ビデオ、写真、文章、グラフ、表、それらの組み合わせが考えられる。ビジュアライゼーションに関心を向ける目的も同じであろう。つまり、素早く理解できる情報を届けるためである。データに関する新たなツールを使うことで、そのツールでなければ見つけることのできないストーリーを見つけ出すことや、今あるストーリーに新たな文脈を与えることが可能となる。ここではノルウェーで最も読まれている新聞「ヴェルデンス・ガング」の事例を紹介する。
数値
この記事はノルウェー統計局、納税者、国営ロト企業のデータを元に書かれている。このインタラクティブなグラフを使い、ノルウェーの地域や地方自治体の様々なデータを見ることができる。このグラフの元データを見ると、税収の数パーセントがロトによるものであることが分かる。このグラフはAccess, Excel, MySQL, Flashといった技術を使って作成された。
ネットワーク
我々は、ソーシャル・ネットワークの分析を行い、ノルウェーで最もお金持ちだった人物の157人の子孫の関係を調査した。我々の分析結果によると、相続人たちはお金だけではなく、親のネットワークも相続していることが分かった。26,000以上のつながりがあったが、全てフォトショップで手描きして図を作成した。その際、Access, Excel, メモ帳、ソーシャルネットワーク分析ツール


マップ
この バー・チャートを合成して作った、動的なヒートマップで、週末のオスロのダウンタウンで一時間毎に起こった犯罪の件数を、数か月分、見ることができる。また、このヒートマップで、その時間帯に何人の警察官が働いていたのかを確認することができる。事件が発生してしまうのは、警察官の数が原因なのだ。このヒートマップは、ArcViewとSpatial Analystによって作成された。

テキストマイニング
我々はノルウェーにある7政党の党大会の講演内容をテキスト・マイニングし、 公開しました。全てのスピーチが分析され、様々なストーリーに利用されました。どのストーリーもグラフにリンクしていて、読者は政治家の言葉を調べたり調べることができたのです。これはExcel, Access, Flash, Illustratorで作成されました。もし2012年であれば、JavaSciptでインタラクティブなグラフを作ったことでしょう。

結論
どんなときにストーリーをビジュアライズすればよいのだろうか?読者の理解を助けたいという場合を除き、たいていの場合は必要ない。ストーリーには大量のデータが含まれているので、ビジュアライザーションが必要となるときがあるのだ。どのデータをビジュアライズするかは非常に重要である。我々が何かについて報道するとき、そこに含まれるものについては何でも分かっている。だが読者がストーリーを把握するために本当に必要なものは何であろうか?ある年からある年までの発展を見せるのであれば、おそらく表や単純なグラフで十分だろう。データ・ジャーナリズムの仕事をするとき重要なのは、大量のデータを見せることではない。データ・ジャーナリズムは、あくまでジャーナリズムなのだ!
読者が異なるテーマを掘り下げることができるようにするため、インタラクティブなグラフや表を作るというトレンドが、この2-3年明確に続いている。よいビジュアライザーションというのは、よい写真のようなものだ。それが何であるか、見た一瞬あるいは少しの間に理解することができる。ビジュアルを見れば、それだけ理解することができるということだ。読者が使い方を理解できないビジュアライゼーションはよくない。詳細に関する情報が多すぎるのもそうだ。この事例は、テキストで構成するのが良いと考えたのだが、どうだろうか?
— John Bones, Verdens Gang