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リアルタイム選挙ハック

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Figure 13. Elections 2011 (Hacks/Hackers Buenos Aires)

Electoral Hack は、政治を分析するプロジェクトで、2011年のアルゼンチンの選挙の暫定票のデータをビジュアライズした。 このシステムでは前回の選挙結果と共に社会人口学的な統計データも扱っている。結果は、2011年のアルゼンチンでの選挙のデータを元にリアルタイムでアップデートされ、選挙結果の要約も行った。プロジェクトを主導したのは Hacks/Hackers Buenos Airesと政治アナリストの Andy Tow で、ジャーナリストや開発車、デザイナー、アナリスト、政治学者、そして Hack/Hackers の支部のメンバーが協力した。

どんなデータを利用したのか?

データは全て公式なものを使用した: 政府の選挙事務局はIndraからの暫定データへのアクセスを提供した。内務省は当選者と様々な政党からの候補者の情報を提供した。 ある大学のプロジェクトチーム は、それぞれの政党の経歴と政策についての情報を提供した。社会人口学的な情報は、2001年の国勢調査、2010年の国勢調査、そして厚生労働省からの情報による。

どのように開発されたのか?

アプリケーションは、Hacks/Hackers Buenos Airesによる2011 Election Hackathonで選挙の前日の2011年10月23日に作られた。ハッカソンには30人の様々なバックグラウンドを持つボランティアが参加した。Electoral Hackはオープンなプラットフォームとして開発され、その後も改善できるようになっていた。技術的には、Google Fusion Tables、Google Maps、そしてベクター・グラフィックを扱うためのライブラリを使用した。

選挙の統計情報を地図上に表すために、ポリゴンを生成するようにした。GIS(地理情報処理システム)上のポリゴンとGoogle Fusion Tablesの公開テーブルの地理情報を組み合わせて、内務省の選挙データベースと国家統計センサス局による社会人口学的データに関連付けられたデータテーブルを作成した。このテーブルから、Google Maps上にビジュアライゼーションを作成した。

Google Maps APIを使用して、異なる色を使って投票の空間分布を示す主題図を作成した。色の密度は、投票管理局や投票所ごとの投票先の分布を示している。特に、主要な都市での結果は強調してあった。Buenos Aires、Buenos Airesの都市圏の24の地域、Cordoba、Rosarioなどである。

同じテクニックを使って、これまでの選挙(すなわち2011年の予備選挙と2007年の選挙)の空間分布や、貧困・小児死亡率・生活環境などの社会人口学的データの分布も作成して分析や比較ができるようにした。さらにこのプロジェクトでは、10月の選挙と8月の大統領選挙の際にそれぞれの政党が獲得した投票の差についての空間分布も公開した。

その後、暫定投票結果のデータの一部を使って投票結果の分析を行うアニメーション地図を作成し、投票結果の進み具合を投票所がしまってから次の朝になるまでレポートした。

良かったこと

  • 我々はデータを見つけ出して使用するつもりだったし、実際にそうすることが可能だった。我々は UNICEFが持つ子どもの社会人口学データベース を手元に持っていたし、Torcuato Di Tella大学のyoquierosaber.orgグループが作成した候補者のデータベースも持っていた。ハッカソンの期間中に、我々は大量の追加データを集めて最後にはそれも含めることが出来た。

  • こうした調査やプログラミングが、大学の人々によってより良いものになったことは明らかだ。Andy TowとHilario Moreno Camposの貢献無しには、このプロジェクトを成し遂げることは出来なかった。

反省点

  • 我々が使用することが出来た社会人口学的データは最新のものではなかった(ほとんどは2001年の国政調査のものだ)し、粒度もそこまで細かくはなかった。例えばこのデータは、地域の平均GDPや主要な経済活動、教育水準、学校の数、一人当たりの医者の数、そしてその他のあれば素晴らしかったであろう事項の詳細を含んでいなかった。

  • 元々このシステムはランダムなデータを組み合わせて表示しジャーナリスト達が興味をもったデータをウェブに描き出すことが出来るツールとして設計されていた。しかし、それについては別な機会に譲らなければならなかった。

  • このプロジェクトはボランティアのスタッフによって短期間で構築されたため、我々が望むこと全てを実現することは出来なかった。しかし、我々は正しい方向に向かい、かなりの進歩を遂げることができた。

  • 同じ利用で、30人以上の協力による作業の全ては、最後に政府が提供したデータが届き始めた時に一人のプログラマに凝縮された。そして、データをリアルタイムで取り込むのにいくつかの問題が発生した。こうした問題は数時間の内に解消された。

結果

エレクトラル・ハックプラットフォームは、テレビ・ラジオ・紙媒体・オンライン媒体などのメディアに大きくとりあげられた。このプロジェクトが作成したマップは、選挙期間中とその後の数日の間、いくつかのメディアで利用された。その後もマップやビジュアライゼーションは更新され、さらにサイトへのトラフィックを増やした。選挙当日には、2万のユニークユーザーを獲得、マップは新聞Página/12の1面に2日連続で掲載され、La Naciónの記事でも取り上げられた。いくつかのマップはClarínの紙面にも掲載された。リアルタイムのデータ・マッピングのインタラクティブが使われたのは、アルゼンチンのジャーナリズム史上初めてのことである。このマッピングの色の塗り分けで、Cristina Fernandez de Kirchnerが54%の票を得て圧勝したことが明白に分かるようになっていた。またこのマップによって、地方の議員達が圧勝する様子も分かるようになっていた。

Mariano Blejman, Mariana Berruezo, Sergio Sorín, Andy Tow, and Martín Sarsale from Hacks/Hackers Buenos Aires