2010年1月、BBCは異なる工場で生産された異なるモデルの車がMOTテストに合格か不合格かの割合についてのデータを入手した。MOTは、ある車が路上を安全に走行できるかを評価するテストだ。製造から3年以上経過している車は全て、毎年MOTテストを受けなければならない。

私たちはMOTシステムを監督している運輸省の機関であるVOSAとの長期間の争いの末に情報公開の権利に基づきこのデータをようやく入手した。VOSAはそれらの数字を公開することは業務上の機密保持に違反するかもしれないという理由で、私たちからの情報公開の要求を拒否していた。議論のポイントは、MOTテストに不合格になる割合が高い車の製造業者に「商業的なダメージを与える」かもしれないということだった。そこで私たちは、情報公開が公共の利益のためになるかを決定する情報コミッショナーに訴えた。するとVOSAはようやくデータを公開した。それは私たちが公開を要求してから実に18ヵ月後のことだった。

私たちは、最も人気のあるモデルの車に注目し製造から同じ年数がたっている車を比較しながらデータの数字を分析した。その結果、車によって大きな差異が見られた。例えば製造後3年以内の車では、ルノー・メガールの28％がMOTテストに不合格になっているが、トヨタ・カローラでは不合格になる割合は11％だった。このデータの数字はテレビ、ラジオ、オンラインで報告された。

私たちに与えられたデータは、PDFで1,200ページにおよんだ。私たちは分析のためにそれをスプレッドシートに変換しなければならなかった。そして結論と共に1万4,000行以上におよぶエクセル形式の表をBBCニュースのWebサイト along with our story に掲載した。これによって、誰もが利用しやすい形式のデータにアクセスすることができるようになった。

その結果、他の人たちがこのデータを使って自分なりの分析を行ってくれた。いち早くこの情報を公表するために、私たちにはそうした分析をする時間がなかった。こうした分析は、場合によっては私たちの技術力を拡張する役目もしてくれた。それには、製造から3年以外の年数が経過している車の不合格率を調査すること、ひとつひとつのモデルではなく製造企業の記録を比較すること、個々のモデルの結果を調べるときに検索できるデータベースをつくることなどが含まれていた。私たちは自分たちのオンラインニュースにそうしたサイトへのリンクを掲載し、読者がこうした分析から利益を得られるようにした。

このことは、データに基づく話に付随する未加工データを公表することが持ついくつかの利点を良く説明している。他の追跡調査のために後でデータ使うことを計画していてし、ばらくの間それを公表しないでおきたい場合などの例外はあるだろうが、全体的にはデータを公開することはいくつかの重要な利点を有している。

— Martin Rosenbaum, BBC